盛岡市の中心部を流れる中津川のほとりに、一本のイチョウの大木がある。
太い幹の上に、こんもりと生い茂る枝葉。圧倒的な存在感を放って、道路のど真ん中に立っている。
【撮影ワンポイント】上の橋際のイチョウ
道路の真ん中に立つイチョウを目立たせるため、背景は星空にした。天気予報を吟味して快晴の日を選んだが、月明かりが強かった。明るい星しか見えないが、その分北斗七星とカシオペアがわかりやすくなった。イチョウの周りにもアクセントをつけるため、星のように広がる街灯の光芒の大きさを絞り値で調節した。 (小林正明)
推定樹齢118年。盛岡藩の殿様が城下で最初に架けた橋の近くにあるため、「上(かみ)の橋際のイチョウ」と名づけられている。
「盛岡の人が故郷を思い出すとき、心に浮かぶ原風景のような場所です」
近くでカメラ店を営む松本静毅(せいき)さん(70)はそう話す。店には妻の尚子さん(71)が撮影したイチョウの写真が飾られ、絵はがきも売られている。
清流・中津川。そこに架かる上の橋。そしてイチョウの木。この三つが重なる風景は盛岡の宝だという。
だがこのイチョウ、かつて伐採の危機にさらされたことがあった。
今から50年前の1973年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル